川越胃腸病院はサービス業の中でもずば抜けている。常に明日に向かってチャレンジする病院だ。なぜ、どうしてそうできるのか?

☆職員のプライド
 世界一の集客力を生むディニーランドの創設者ウオルト・ディズニーは、人材活用法のひとつに、一番優秀な人材は掃除の担当にするように指示した。(詳しくは安重著「就職テクニック」)
 川越胃腸病院を尋ねた私に、最初に丁寧に挨拶をしてくださったのは、掃除担当の職員の方だった。礼儀正しく、丁寧な挨拶をされる男性を、てっきり管理職の方だと思っていた。
 失礼を言わせてもらうと、一般的に、掃除担当者は、「私は掃除」という、何か控えた態度で、挨拶も下を向いたまま目立たぬようされる。
 川越胃腸病院の掃除のおじさんは、掃除のプロだ。清掃会社に修行に行き、薬品から、掃除の方法まで勉強し知り尽くしている。だから、病院内で掃除という、自分の持ち場に対する自信と誇りがみなぎった仕事の仕方だ。「トイレは便器の裏までさわっていただいても大丈夫です」から出るプライドである。
 プライドは、知力と体力の限りを尽くした仕事に実現される。

☆トップの言葉
 須藤常務理事から「まず、病院職員が、自分の家族を入院させたい病院であること」を目指すとの言葉。患者様第一主義の、この姿勢があるからこそ、サービスやマナーの最高峰になれるのだろう。「正しいマナー」を超越し、「感動させるサービス」に辿り着く行動は、一夕一朝にできるものではない。
 なぜ、感動させるサービスができるのか? 私は「体と頭と心のフル回転」と分析する。第一に人、第二にも、三にも人である。職員が身を粉にして動き、人材が人財(宝)でなければならない。
 理事長・院長の望月智行医師が、「何よりも職員を大事にすることを考える」と繰り返す言葉からも、職員が安心して実力発揮できる環境作りに徹するトップの心意気が見える。
 川越胃腸病院の強さの秘密は、“向上心”&“マナー”である。
実は、私がこの文章を含む論文を書いたのは、15年以上前のことです。
違っているのは受付の場所です。向上心は、更なる進化です。
今日も、患者様のため、前進し続ける川越胃腸病院は、日本の宝です。
成長したい人、向上したい企業には、学ぶべきこと多い病院です。
私は、学生に「心の大切さ」を教えるとき、この病院のことを話します。
学生は目を輝かせて聞き入ります。
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日本一の企業、超一流商社、遠く海外からも視察客が押し寄せる病院がある。企業の役員に、埼玉県川越市まで足を運ばせる魅力の主は「川越胃腸病院」である。

「向上心とマナー」は日本一。飛ぶ鳥を落とす勢いの日本一の企業が、川越胃腸病院から社員の能力発揮の方法を探ろうと必死なのだ。
いや、川越胃腸病院から学ぼうとする姿勢が、日本一であり続ける企業を作り出すと考えるのが正しいだろう。

川越胃腸病院 キッチンのある部屋

 安重 千代子 CHIYOCO ANJU / 一般社団法人 ビジネス能力開発研究所